本日は熨斗目の柄足しのご紹介です!
出産前にお預かりして、いつでもいいよ、と言っていただいていたのですが、
先のことは目途が立たないし、と思って出産前に仕上げた熨斗目です。
ですが、そもそもの予定日だった手術の日までに加工を完了することが出来ず、
これは時間をもらわなくては。。。と無念に思っていたのです。
そうしたらば、あのようなことになり、しばしの猶予を得られたので、
完成させることが出来た、という、ありがとうチビ子、といういきさつがあります。
まず全体像です。
立派な熨斗目ですねえ。
ですがやはり、作られてからかなり時間が経っているため、
主に白場に変色がでています。
私の祝着も最近染み抜きをしましたが、
その着物はきついシミ抜き剤を使うことが出来たので、
柄足しは最低限に、基本的にはシミ抜きで直す、
という方法をとりました。詳しくはコチラ
ですが今回の場合は、きつい薬品を使うと、
黒場の黒がごっそり変色してしまう、という種類の染料で
染められていたため、シミ抜きではなく主に柄足しでお直ししました。
その染料は植物染料で、とてもきれいな発色をするものなのですが、
植物染料という性質上、どうしても経年変化で退色する、ということがあります。
そういう意味では、黒場に大きな変色がなく、黒場の状態はよかったです。
ビフォー①左外袖。
白場の変色が目立ちますが、
現物は柄の中も変色しています。
アフター①
袖の下の雲どり(緑のもくもく部分)を模して、
金彩で雲どりを足しました。
鷹の刺繍糸が黄味の強い色なので、金彩はそれより
かなり控えめの色にしました。
それではシミが隠れきれなかったので、
雲どりの中も、緑の雲どりのなかにある柄を、
型に起こして足してあります。
緑の雲どりの中もシミ・変色が出ていたので、
緑を濃くして隠しています。
ビフォー②左外袖のアップです。
アフター②
ビフォー③右外袖
加工としては左と同じです。
アフター③
ビフォー④左内袖
アフター④
前側は柄があっさり目だったので、
雲どりを足すだけにして、中に型の金を置くことは
しませんでした。
ビフォー⑤前身頃
前身頃は、黄色や緑の霞部分も変色してましたので、
その部分は元の色を活かして、色味を濃くすることで
対応しました。
アフター⑤
うーむ、写真では分かりづらいですね。。。
前身頃の裾の方は、濃い金で雲どりを足しています。
(霞部分も触っていますが、この写真では伝わらないですね。。)
ビフォー⑥全体
最初に掲載した全体像です。
アフター⑥
柄足しで金をつかっているので、
全体的にさらに華やかな雰囲気になりました。
元々の雰囲気を壊さないよう、
柄を足したつもりですが、
喜んでいただけたようでよかったです。
掲載も快く許していただき感謝です。
Kさま、この度はありがとうございました!
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